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~語るべきことなど何もないのに~
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宮崎駿が「風立ちぬ」のインタビューにおいて,作品名こそ明らかにしなかったものの不快感を示していたのを読み,宮崎信者の私としては,「永遠の0」にマイナスの印象から入ることは避けられなかった。











しかしその後,井筒監督が酷評したとのネット記事をきっかけに,一気に名作の推定が働いた。


観た結果,私の直観は的中。むしろ想定した以上に名作だった。


太平洋戦争で何があったか,日本とはどういう国なのかを知るうえで「プライド 運命の瞬間」や「終戦のエンペラー」と並ぶ上質なテキストと言っていい。









宮崎はゴリゴリの反戦平和主義者である反面,当時の兵器や戦記物にも造詣が深い人物であるから,二重の意味で安易なゼロ戦礼賛ストーリーが許せなかったのだろう。




しかし安易な礼賛であるかどうかはあくまで観たうえで個人個人が感じることにすぎない。私が見る限りでは,とてもそうは思えなかったが。




宮崎は映画はおろか原作小説も手に取っていないというのであるから,まあ,歳を取ればそういう感じになってしまうのも理解できないではない。

邪推だが,ゼロ戦について自分以上に語れる者はいないという自負があってのことではないだろうか。







対して井筒は,声のデカさで映画「評論家」として有名になっただけで,映画「監督」として他人の作品を酷評できるような地位にいたことはない,はず。

なんというか,宮崎が本物の左翼なら,井筒はアーティスト気取りのエセ左翼に見える。


サザンの感動的な歌で戦争賛美しましょう的右寄り映画に噛みつく俺ってカッコ良くない?みたいな。





こういう薄っぺらいスタンスの人が吐く言葉にギャランティーが発生することが不思議である。
嫉妬を超えて純粋に羨ましいと思う。まあ,薄っぺらいからこそ世間に浸透しやすいってことなのでしょうが。





なんて書いてると滅茶苦茶井筒を嫌っているように見えるかもしれませんが,べつにそういうわけでもなく。嫌ってたらこんな字数じゃ収まらないし。

むしろ,井筒が批判してると聞かなければ映画を観に行こうとは思わなかったはずなので,そこは本当に感謝してもしきれないくらい。


なんなら初めからそういう商法に引っかかった可能性もあるけどw











少しだけ作品の話をしよう。







観れば誰でもわかることなので詳しくは書かないが,


「永遠の0」はゼロ戦を礼賛し,戦争を賛美している映画なのか?


という問いを立てるとすれば,答えはNOである。





ここで「とすれば」と仮定的に書いたのはつまり,その問いはこの作品を語る上ではあまりストライクではないからである。




無理矢理にそのような問いを立ててYES,よってけしからん作品だと批判するのは,



自前の軍隊を持つことは戦争につながる

武器を持たなければ戦争がなくなる

戦争に加わった奴みんな悪

反権力こそ正義


と雰囲気でしかモノを語れない輩のすること。


こういう輩の言論が幅を利かせる時代は徐々に終わりつつある。




と同時に,あの戦争は何だったのか自分の体験として語れる人達もいなくなりつつある。
「永遠の0」の設定(現代に生きる主人公が,特攻隊員だった祖父がどういう人物であったかを知ろうとする)は,まさにそういう危機感を前提に作られたことの表れとみえる。



戦争についての肯定否定はさておき,下の世代に昔何があったのかを伝える責任。それは「風立ちぬ」を作った宮崎駿にも感じたことである。






実際に戦地で銃弾の下をくぐった人からすればぬるく見えるだろうが,戦争を知らない世代の人間が「あの映画はリアルじゃない」などと批判することの滑稽さといったら。そんなことは表現する現場の人間のほうがよっぽどわきまえているはず。


それでもなお風化させてはならない時代の記憶があると感じた人いて,その人達の才能,努力のおかげで小説,映画ができ,我々がその何かしらを感じることができた。


長い間,あの戦争について肯定はおろか,否定的でないトーンですら語ることは難しかった。今もまだ簡単とは言えない。そんな中で生まれた「永遠の0」は,とても幸福な作品だと思う。















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