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~語るべきことなど何もないのに~
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人は戦うために生きているのか、




あるいは生きるために戦うのか。








そのようにいきなり問われれば、大抵の人は「生きるために戦う」と答えるだろう。




格闘漫画やロボットアニメの世界でも、

戦うために生きているような野蛮な人がいて、

主人公が平和のために戦う

という図式が通常であって、そこでは前者が悪人として描かれる。
そういうストーリーを読んで育った人が多数派ではないだろうか。


もっとも最近では、主人公が信じていた平和や正義が無条件に信じられるものなのか?という悩みを加えることで深みを持たせるのがバトル物の定石になっている。それはそれで結構なことである。









しかしそんな中、「戦うために生きる」男が主人公である「修羅の門」は、ひときわ異彩を放つ作品の1つであると思う。




「修羅の門」は、千年の歴史を持つ人殺しの技、陸奥圓明流の継承者である陸奥九十九が、数々のライバルを倒していくストーリー。

(そう呼ぶかどうかは不明だが)「第壱門」が大体20年くらい前からスタートし、第四部で完結してから約10年後、「第弐門」がスタートして連載中。








本作の最大の魅力はストーリーのシンプルさにあるが、ここで私が強調したいのは、主人公九十九には、その最強っぷりとは裏腹に「戦う理由」があるのかどうかよくわからないところである。

命を懸けて戦うに値するような、もっともらしい理由が見当たらない。









ファイトマネーはいらないし、恋人や家族の命を守るとかいうわかりやすい理由もない。

(そもそも恋仲なのかどうかもよくわからない)ヒロインとの間で、「絶対に負けない」と約束をしたりはするけど、基本的には「陸奥圓明流の千年の歴史に敗北の文字はない」という決めゼリフを吐いてカッコよく強者どもを倒していく。それだけ。

陸奥圓明流継承者としての「業」(兄殺し)ないし「宿命」、その一点が九十九を突き動かしていた。


それが「戦う理由」として説得的たりうるのか、そんな宿命を背負ったことないのでよくわからないが(笑)、そのわからなさが九十九のミステリアスな魅力につながっていた。





もっともそれは、「第壱門」完結時(つまりレオン戦)まで。







「第弐門」では、かつての決めゼリフは出てこない。その代わり九十九は、





「負けてやってもいい。ただし自分より弱い奴には負けてやらん」



と言うようになった。




普通、話が進めば主人公は強くなるものだろうが、
九十九が強くなったかどうかはよくわからない。ただ確かなのは、

九十九が人として「壊れてしまった」ということ。





守るべき者がいないのは元々だったが、現在では陸奥圓明流の「宿命」からも解放されたようにみえる。

さらにいえば、自分の勝ち負けはおろか、生死ですら二の次。
ただただ「自分が」命のやりとりを楽しみたい。生死の際に身を置くために生きている。




究極の自由といってもいいだろう。確かに「壊れている」。






そういう意味では、九十九は元々壊れていたのではないか?とも思える。


ならば「修羅の門 第弐門」は、陸奥九十九という人間の本質がそういうものだった、つまり「修羅」であるということをより正確に描き出したということになる。













巷で未だ根深く蔓延っている「勝ち組・負け組」の論理に対し、


「自分はハナから戦っていないんだから勝ち負けとか関係ないんですよ~」っていう論理で対抗するのもいいだろう。私もよくやる。

しかし他方で、



人は生きるために戦いもするし、


戦うために生きる動物でもある。






勝ち負けの結果よりも戦うこと自体に生きる意味を見出す、という論理で対抗するのもアリではないだろうか(もちろん、結果がついてくるに越したことはないけど。)。






「戦う理由」がないから戦わない、それでは生きている実感が持てない。

でもじつは、知らないうちに戦いの場に巻き込まれている。そんな時代じゃないですかね。






というわけで「修羅の門 第弐門」もまた、この生き難い時代を生き抜くためのヒントを提供してくれる作品ではないかと思うわけです。














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